安全にご使用いただくために

転倒防止金具は本当に必要?役割と正しい使い方

転倒防止金具は本当に必要?役割と正しい使い方

車いすの後ろ側に付いている小さなキャスターのような部品をご存じでしょうか。

これは「転倒防止金具(転倒防止装置)」と呼ばれ、車いすが後方へ倒れるのを防ぐための大切な安全装置です。
「段差を越えにくい」「邪魔になる」と感じて取り外したくなることもありますが、利用者の身体状況や使用環境によっては、安全のために欠かせない部品です。

❚ 転倒防止金具とは?

転倒防止金具は、車いすが後方へ大きく傾いた際に地面へ接地し、後方転倒を防ぐための安全装置です。
自走時や段差を乗り越える際、急な坂道などで重心が後ろへ移動すると、車いすは思っている以上に簡単に後方へ傾くことがあります。
そのような万が一の場面で、転倒防止金具が利用者の安全を守ります。

転倒防止金具を装着していないとき転倒防止金具を装着しているとき

❚ なぜ後方転倒は起こるの?

車いすは後輪を支点としてバランスを保っています。
そのため、重心が後方へ移動すると、前輪(キャスタ)が浮き上がり、そのまま後方へ転倒してしまう危険があります。
後方転倒が起こりやすい場面には、次のようなケースがあります。

  1. ・急に後ろへ身体を反らせたとき
    ・段差を勢いよく乗り越えようとしたとき
    ・坂道で前輪が浮いたとき
    ・荷物を背もたれへ掛けすぎたとき
    ・キャスタが段差に引っ掛かり、重心が後ろへ移動したとき

特に、自走用車いすでは、勢いよくハンドリムをこいだ際に前輪が浮き、転倒する事故もあります。

❚ 転倒防止金具の役割

転倒防止金具は、車いすが一定以上後ろへ傾くと地面に接地し、それ以上倒れ込むことを防ぐ役割があります。
万が一バランスを崩しても、転倒のリスクを軽減し、利用者や介助者の安全につながります。
特に次のような方には重要な安全装置です。

  1. ・後方へバランスを崩しやすい方
    ・筋力や体幹に不安がある方
    ・初めて車いすを利用する方
    ・後方転倒のリスクが高い方

❚ 外してはいけないケース

「段差が越えにくいから」「見た目をすっきりさせたいから」といった理由で、転倒防止金具を取り外すことはおすすめできません。
特に次のような場合は、装着したまま使用することが重要です。

  1. ・後方転倒のリスクがある方
    ・ご自身で車いすを操作する方
    ・ご家族や介助者が不慣れな場合
    ・坂道や屋外で使用する機会が多い方
    ・転倒防止金具は、安全性を確保するための重要な装備です。

取り外しの可否については、取扱店や福祉用具専門相談員などへ相談しましょう。

利用時の注意点

転倒防止金具は安全性を高める一方で、使用環境によっては注意したい点もあります。

・段差を乗り越えにくくなることがある

転倒防止金具が先に地面へ接触することで、小さな段差でも越えにくくなる場合があります。
介助者がティッピングバーを使って前輪を持ち上げる際も、転倒防止金具の高さによっては動作に影響することがあります。

・坂道では接触する場合がある

急な坂道やスロープでは、転倒防止金具が地面に接触することがあります。
無理に進もうとせず、必要に応じて介助者のサポートを受けましょう。

・正しく取り付けられているか確認する

転倒防止金具が緩んでいたり、高さが適切でなかったりすると、本来の性能を十分に発揮できません。
定期的な点検を行い、異常がある場合は販売店へ相談しましょう。

・利用環境に応じた選択が大切です

転倒防止金具は、安全性を高めるための重要な装備ですが、利用環境によっては段差の乗り越えやすさなどとのバランスも考える必要があります。
安全性と操作性の両方を考慮しながら、ご自身の身体状況や使用環境に合った設定を選びましょう。

ワンポイント

転倒防止金具は、万が一の後方転倒から利用者を守るための重要な安全装置です。
段差を越えにくくなるなどの特性はありますが、安全性を確保するうえで大切な役割を担っています。

「邪魔だから」と安易に取り外すのではなく、利用目的や身体状況を踏まえて使用し、不明な点があれば販売店や福祉用具専門相談員へ相談することをおすすめします。